これは、平成10年ごろ、自分が当時いた会社での会話である。
「松坂の年棒は、同い年の高卒男子の所得の○倍くらいあるらしいで。」というような会話をしてたら、19歳の男子社員が、「所得って何です?」と聞いてきた。
「お前そんなことも知らんのー、所得っていうのは収入のことじゃん。」
と、先輩社員が答えると、
「いやあ、前々からみんなの会話聞いてて、分からない言葉がいっぱいあるんで、そのたびに聞こう聞こうと思ってたんですよ。
「手取り」とか「見返り」という言葉も分からなかったんですが・・。」
「お前マジで言ってんの?社会人としての常識が全然ないんと違う?」
「はあ、まあ、そうかも知れないです。」
「よし、じゃあ、ちょっとお前がどれだけ世の中のことを知ってるかテストしてやろう。質問するから答えてみ。」
「はあ、よろしくお願いします。」
「じゃあ、今、松坂の年棒の話をしてたけど、こんな風に個人個人によってすごく収入に差が出来る国家の主義を何て言う?」
「資本主義です。」
「おおっ知ってるじゃん。日本は何主義?」
「資本主義です。」
「おおっすげえじゃん、じゃあアメリカは?」
「民主主義です。」
「み、民主主義と資本主義を一緒に考えるのはちょっと違うだろ。じゃあ何で日本は資本主義なのにアメリカは民主主義なんや?」
「アメリカには、アメリカ人とイギリス人とインディアン人が住んでいて、それらの人々が仲良く暮らしているから民主主義です。」
「まあ、ええわ。次行こう。ちょっと問題の内容、変えようか。歴史の問題行こう。」
「徳川家の歴代将軍で名前を知ってる人を挙げてみ。」
「暴れん坊将軍と水戸黄門です。」
「江戸時代に行われてた「参勤交代」ってどういう意味?」
「朝、昼、晩と勤務する人間が替わることです。」
「それは三交代制勤務。」
「徳川家康と豊臣秀吉と織田信長の性格をホトトギスで表した有名な言葉は?」
「家康が、`鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス。´」「そうそう。」
「秀吉が`鳴かせてみせよう、ホトトギス。´」「そうそう、で、信長は?」
「信長は・・鳴かぬなら・・鳴いてみよう! ホトトギス」
「ほう、信長は自分で鳴いたんかい。」(正解はもちろん「殺してしまえホトトギス」ですね。)
「織田信長っていったら平安時代の人ですよね。」
「・・・・そーだね。」
「じゃ、次ね。佐々木小次郎の生涯最大の敵と言ったら? あ、その前に、だいたいお前、佐々木小次郎って誰か知ってるか?」
「佐々木小次郎は・・確か二刀流を使う人で・・船に乗って関ヶ原に遅刻して行った人です。」
「お前、笑かそー思うてわざと言ってるだろ。」
「ち、違いますよ、本当に知らないんですよ。」
「じゃ、次は英語の問題行こうか。例えば・・・『ソニーは日本で一番人気のある会社です。』っていうのを英語に訳してみ。」
「えーと・・This is Japan popular SONY・・」
「違う、全然違う。This isで始まった時点ですでに違う。だいたいThis is Japanって、一体何が言いたいんや。」
「ちょっと違ってましたかねぇ。」
「もう、ええ。だいたい分かった。結論は出た。」
「お前、お客さんとこ行ってあんまり喋るな。天気の話とかプロ野球の話とか、さしさわりのないことだけ喋っとけ。」